一般貨物自動車運送事業とは

一般貨物自動車運送事業とは、いわゆる営業ナンバー(緑ナンバー)事業者のことで軽自動車、自動二輪を除くトラックを使用して、お客様の荷物を運送する事業のことです。
会社や個人の方から運送の依頼を受け、運賃を受け取る場合はこの事業にあたります。

一般貨物自動車運送事業を始めるには、事業開始に先立ち、営業所を置く都道府県の運輸支局へ許可申請書を提出し、国土交通大臣または地方運輸局長の許可を受けることが必要です。

提出された申請書は運輸支局で形式審査が行われ、その後国土交通省または地方運輸局において内容審査が行われます。なお、許可の決定までは申請受理後約4ヶ月です。

一般貨物自動車運送事業必要な要件

一般貨物自動車運送事業の許可を取得するためには、法令などで定められた要件すべてに適合しなければなりません。主な要件は下記のとおりです

1. 営業所に関する要件

1. 使用権限を有すること。借入れの場合は、1年以上の使用権限を有すること。
※ 登記上、契約書上”住居”ではいけません。例)店舗・事務所などであれば可能です

2. 立地が農地法、都市計画法、建築基準法等の関係法令に抵触しないこと

3. 営業所として適切な規模(広さ)があること

2. 車両数に関する要件

1. 営業所ごとに配置する事業用自動車の数は、種別ごとに5両以上であること

2. 計画する事業用自動車にけん引車、被けん引車を含む場合の最低車両台数の算定方法は、けん引車+被けん引車を1両と算定。

3. 霊きゅう運送、一般廃棄物運送、一般的に需要が少ないと認められる島しょの地域における運送事業については、1両以上であること。

3. 事業用自動車に関する要件

1. 事業用自動車の大きさ・構造等が輸送する貨物に適切なものであること

2. 使用権限を有すること
リース車両は、契約期間が概ね1年以上であること

4. 車庫に関する要件

1. 営業所から10キロ以内位置すること。
但し、東京都特別区内、横浜市、川崎市に営業所を設置する場合は20キロ以内となります。

2. 車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50cm以上確保され、かつ、計画する事業用自動車のすべてを収容できるものであること
車両の積載量で必要な広さが決まっています。
o 7.5トンを超える車両=38平方メートル
o 2.0トンロング超~7.5トンまでの車両=28平方メートル
o 2.0トンロングの車両=20平方メートル
o 2.0トンまでの車両=15平方メートル

3. 他の用途に使用される部分と明確に区画されていること

4. 使用権限を有すること。借入れの場合は、契約期間が概ね1年以上であること。農地法、都市計画法等関係法令に抵触しないこと
※ 車庫については、登記上の地目が「畑」「田」となっている場合には農地法の関連で注意が必要となります。また、市街化調整区域内でも、無蓋車庫であれば原則として認められます。

5. 前面道路は、原則として幅員証明書により、車両制限令に適合するものであること
原則として、前面道路の幅員が6.5m以上あれば、通常の貨物車両(2.5m幅以下)であれば問題ありません。

5. 休憩・睡眠施設に関する要件

1. 乗務員が有効に利用することができる適切な施設であること

2. 睡眠を与える必要がある乗務員1人あたり2.5平方メートルの広さを有すること

3. 原則として、営業所又は車庫に併設するものであること。営業所に併設されていない場合であって、車庫に休憩・睡眠施設を併設するときは、休憩・睡眠施設の所在地と休憩・睡眠施設を併設しない車庫の所在地との距離が10km(東京都特別区、神奈川県横浜市・川崎市の場合は20km)を超えないものであること

4. 使用権限を有すること
借入れの場合は、契約期間が概ね1年以上であること。

5. 農地法、都市計画法、建築基準法等関係法令に適合していること

6. 運行管理体制に関する要件

運送事業の適正な運営を確保するために、次に掲げる運行管理体制を整えていること

1. 事業計画を適切に遂行するため必要となる員数の貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条2項に適合する事業用自動車の運転者を、常に確保できるものであること
【適正な運転者の人数】
①営業所に週1回の公休日があり1人1車の場合:運転者数=車両数
②営業所が無休で1人1車の場合:運転者数=車両数×1.2

2. 選任を義務付けられる員数の常勤の運行管理者及び整備管理者を確保する管理計画があること

3. 勤務割及び常務割が平成13年8月20日国土交通省告示第1365号に適合するものであること

4. 運行管理の担当役員等、運行管理に関する指揮命令系統が明確であること

5. 車庫が営業所に併設できない場合は、車庫と営業所が常時密接な連絡をとる体制を整備するとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立していること

6. 事故防止についての教育及び指導体制を整え、かつ、事故の処理及び自動車事故報告規則に基づく報告の体制について整備されていること

7. 危険品の運送を行う運送事業者は、消防法等関係関係法令に定める取扱い資格者が確保されるものであること。

7. 資金計画に関する要件

1. 資金調達について十分な裏付けがあること
自己資金は預貯金を基本とし、預貯金以外の流動資産も含めることができます。預貯金の場合は、申請から許可が下りるまで常時確保されていることが必要です。

2. 所要資金の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。所要資金とは、各費用ごとに以下に示すところにより計算されているものであること

費用 計算方法
車両費 取得価格(分割の場合は頭金及び6か月分の割賦金。但し、一括の場合は取得価格)またはリースの場合は6か月分の賃借料等
建物費 取得価格(分割の場合は頭金及び6か月分の割賦金。但し、一括の場合は取得価格)または6か月分の賃借料、敷金等
土地費 取得価格(分割の場合は頭金及び6か月分の割賦金。但し、一括の場合は取得価格)または6か月分の賃借料、敷金等
保険料 1. 自動車損害賠償保険料又は自動車損賠賠償責任共済掛金の1か年分
2. 賠償できる対人賠償自動車保険(任意保険)料の1か年分又は交通共済の加入に係る掛金の1か年分
3. 危険物を取扱う運送の場合は、当該危険物に対応する賠償責任保険料の1か年分
各種税 租税公課の1か年分
運転資金 人件費・燃料費・油脂費・修繕費・タイヤチューブ費・備品費等の2ヶ月分

8. 法令順守に関する要件

1. 申請者又はその法人の役員は、貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有し、かつ、その法令を遵守すること

2. 健康保険法、厚生年金法、労働者災害補償保険法、雇用保険法に基づく社会保険等加入義務者が社会保険等に加入すること

3. 申請者又は申請者が法人である場合にあっては、その法人の業務を執行する常勤の役員が、貨物自動車運送事業法又は道路運送法の違反により、申請日前3か月間(悪質な違反の場合は6か月間)又は申請日以降に、自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時、現にその法人の業務を執行する常勤の役員として在任した者を含む。)ではないこと

4. 新規許可事業者は、許可書交付時等に指導講習を実施するとともに、事業開始後6か月以内に実施される地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の適正化事業指導員による巡回指導によっても改善が見込まれない場合等には、運輸支局による監査等を実施するものとする。

9. 損害賠償能力について

1. 自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済に加入する計画のほか、一般自動車損害保険(任意保険)の締結等十分な損害保障能力を有するものであること
加入すべき任意保険等の賠償額は、被害者1名につき無制限であること

2. 石油類、化成品類または高圧ガス類等の危険物の輸送に使用する事業用自動車については、上記に1.適合するほか、当該輸送に対応する適切な保険に加入する計画など十分な損害賠償能力を有するものであること

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