一般貨物自動車運送事業許可申請について
一般貨物自動車運送事業とは
一般貨物自動車運送事業とは、いわゆる営業ナンバー(緑ナンバー)事業者のことで軽自動車、自動二輪を除くトラックを使用して、お客様の荷物を運送する事業のことです。
会社や個人の方から運送の依頼を受け、運賃を受け取る場合はこの事業にあたります。
一般貨物自動車運送事業を始めるには、事業開始に先立ち、営業所を置く都道府県の運輸支局へ許可申請書を提出し、国土交通大臣または地方運輸局長の許可を受けることが必要です。
提出された申請書は運輸支局で形式審査が行われ、その後国土交通省または地方運輸局において内容審査が行われます。なお、許可の決定までは申請受理後約4ヶ月です。
一般貨物自動車運送事業必要な要件
一般貨物自動車運送事業の許可を取得するためには、法令などで定められた要件すべてに適合しなければなりません。主な要件は下記のとおりです
1. 営業所に関する要件
1. 使用権限を有すること。借入れの場合は、1年以上の使用権限を有すること。
※ 登記上、契約書上”住居”ではいけません。例)店舗・事務所などであれば可能です
2. 立地が農地法、都市計画法、建築基準法等の関係法令に抵触しないこと
3. 営業所として適切な規模(広さ)があること
2. 車両数に関する要件
1. 営業所ごとに配置する事業用自動車の数は、種別ごとに5両以上であること
2. 計画する事業用自動車にけん引車、被けん引車を含む場合の最低車両台数の算定方法は、けん引車+被けん引車を1両と算定。
3. 霊きゅう運送、一般廃棄物運送、一般的に需要が少ないと認められる島しょの地域における運送事業については、1両以上であること。
3. 事業用自動車に関する要件
1. 事業用自動車の大きさ・構造等が輸送する貨物に適切なものであること
2. 使用権限を有すること
リース車両は、契約期間が概ね1年以上であること
4. 車庫に関する要件
1. 営業所から10キロ以内位置すること。
但し、東京都特別区内、横浜市、川崎市に営業所を設置する場合は20キロ以内となります。
2. 車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50cm以上確保され、かつ、計画する事業用自動車のすべてを収容できるものであること
車両の積載量で必要な広さが決まっています。
o 7.5トンを超える車両=38平方メートル
o 2.0トンロング超~7.5トンまでの車両=28平方メートル
o 2.0トンロングの車両=20平方メートル
o 2.0トンまでの車両=15平方メートル
3. 他の用途に使用される部分と明確に区画されていること
4. 使用権限を有すること。借入れの場合は、契約期間が概ね1年以上であること。農地法、都市計画法等関係法令に抵触しないこと
※ 車庫については、登記上の地目が「畑」「田」となっている場合には農地法の関連で注意が必要となります。また、市街化調整区域内でも、無蓋車庫であれば原則として認められます。
5. 前面道路は、原則として幅員証明書により、車両制限令に適合するものであること
原則として、前面道路の幅員が6.5m以上あれば、通常の貨物車両(2.5m幅以下)であれば問題ありません。
5. 休憩・睡眠施設に関する要件
1. 乗務員が有効に利用することができる適切な施設であること
2. 睡眠を与える必要がある乗務員1人あたり2.5平方メートルの広さを有すること
3. 原則として、営業所又は車庫に併設するものであること。営業所に併設されていない場合であって、車庫に休憩・睡眠施設を併設するときは、休憩・睡眠施設の所在地と休憩・睡眠施設を併設しない車庫の所在地との距離が10km(東京都特別区、神奈川県横浜市・川崎市の場合は20km)を超えないものであること
4. 使用権限を有すること
借入れの場合は、契約期間が概ね1年以上であること。
5. 農地法、都市計画法、建築基準法等関係法令に適合していること
6. 運行管理体制に関する要件
運送事業の適正な運営を確保するために、次に掲げる運行管理体制を整えていること
1. 事業計画を適切に遂行するため必要となる員数の貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条2項に適合する事業用自動車の運転者を、常に確保できるものであること
【適正な運転者の人数】
①営業所に週1回の公休日があり1人1車の場合:運転者数=車両数
②営業所が無休で1人1車の場合:運転者数=車両数×1.2
2. 選任を義務付けられる員数の常勤の運行管理者及び整備管理者を確保する管理計画があること
3. 勤務割及び常務割が平成13年8月20日国土交通省告示第1365号に適合するものであること
4. 運行管理の担当役員等、運行管理に関する指揮命令系統が明確であること
5. 車庫が営業所に併設できない場合は、車庫と営業所が常時密接な連絡をとる体制を整備するとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立していること
6. 事故防止についての教育及び指導体制を整え、かつ、事故の処理及び自動車事故報告規則に基づく報告の体制について整備されていること
7. 危険品の運送を行う運送事業者は、消防法等関係関係法令に定める取扱い資格者が確保されるものであること。
7. 資金計画に関する要件
1. 資金調達について十分な裏付けがあること
自己資金は預貯金を基本とし、預貯金以外の流動資産も含めることができます。預貯金の場合は、申請から許可が下りるまで常時確保されていることが必要です。
2. 所要資金の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。所要資金とは、各費用ごとに以下に示すところにより計算されているものであること
費用 | 計算方法 |
---|---|
車両費 | 取得価格(分割の場合は頭金及び6か月分の割賦金。但し、一括の場合は取得価格)またはリースの場合は6か月分の賃借料等 |
建物費 | 取得価格(分割の場合は頭金及び6か月分の割賦金。但し、一括の場合は取得価格)または6か月分の賃借料、敷金等 |
土地費 | 取得価格(分割の場合は頭金及び6か月分の割賦金。但し、一括の場合は取得価格)または6か月分の賃借料、敷金等 |
保険料 | 1. 自動車損害賠償保険料又は自動車損賠賠償責任共済掛金の1か年分 2. 賠償できる対人賠償自動車保険(任意保険)料の1か年分又は交通共済の加入に係る掛金の1か年分 3. 危険物を取扱う運送の場合は、当該危険物に対応する賠償責任保険料の1か年分 |
各種税 | 租税公課の1か年分 |
運転資金 | 人件費・燃料費・油脂費・修繕費・タイヤチューブ費・備品費等の2ヶ月分 |
8. 法令順守に関する要件
1. 申請者又はその法人の役員は、貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有し、かつ、その法令を遵守すること
2. 健康保険法、厚生年金法、労働者災害補償保険法、雇用保険法に基づく社会保険等加入義務者が社会保険等に加入すること
3. 申請者又は申請者が法人である場合にあっては、その法人の業務を執行する常勤の役員が、貨物自動車運送事業法又は道路運送法の違反により、申請日前3か月間(悪質な違反の場合は6か月間)又は申請日以降に、自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時、現にその法人の業務を執行する常勤の役員として在任した者を含む。)ではないこと
4. 新規許可事業者は、許可書交付時等に指導講習を実施するとともに、事業開始後6か月以内に実施される地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の適正化事業指導員による巡回指導によっても改善が見込まれない場合等には、運輸支局による監査等を実施するものとする。
9. 損害賠償能力について
1. 自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済に加入する計画のほか、一般自動車損害保険(任意保険)の締結等十分な損害保障能力を有するものであること
加入すべき任意保険等の賠償額は、被害者1名につき無制限であること
2. 石油類、化成品類または高圧ガス類等の危険物の輸送に使用する事業用自動車については、上記に1.適合するほか、当該輸送に対応する適切な保険に加入する計画など十分な損害賠償能力を有するものであること
一般貨物自動車運送事業許可手続きの流れ
STEP1 手続きに必要な要件などの確認及び書類の準備をする
営業所・車庫・車両の確認など許可基準に合った要件の確認と、これらに関する必要書類をそろえていきます。
※会社法人の場合は代表者印(社印)の押印が必要になります。
STEP2 申請書及び添付書類などの作成及び申請手続き
「一般貨物自動車運送事業経営許可申請書」及び添付書類を管轄の運輸支局にて提出、審査。
STEP3 役員法令試験を受験する
参考資料等の持ち込み不可。50問中8割以上の正解が必要
一般貨物運送業申請が受理された後に関東運輸局より法令試験の案内(実施通知書)が届きます。個人事業の場合は代表者、法人の場合は運送事業に専従する常勤の役員が受験者となり、法令試験を受験し合格しなければなりません。申込手続き等を行う必要はなく指定された日時に受験することになります。合格後、許可申請書類の審査がされます。
STEP4 許可の通知
許可申請後、3ヶ月程の審査期間経過後に通知が届きます。
その際に、登録免許税12万円の納付書(特定貨物自動車運送事業は6万円)が届きますので期限までに納付して下さい。
STEP5 許可証交付式
許可証交付式の連絡が入り、原則代表者などが出席する。
営業するまでに以下の手続きが必要になります。
・運賃及び料金の届出
・運行管理者、整備管理者の選任届を提出
・適性診断の受診
・自動車の登録(営業ナンバーへの付け替え)
※ 当事務所ではお車の登録手続きも行っております。詳しくはこちら
・備付帳票等の整備
・労基署へ届出
・車体への事業者名表示
・事業開始後、速やかに運輸開始届を提出
一般貨物自動車運送事業必要な書類
必要書類 | |
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1 | 事業用自動車の運行管理の体制を記載した書類【指定様式】 |
2 | 所要資金及び調達方法を記載した書類【指定様式】 |
3 | 自己資金の確保を裏付ける書面 例)預金残高証明書、預貯金の通帳、臨時株主総会議事録、出資金引受書など |
4 | 運送事業に使用する施設の概要及び付近の状況を記載した書類 1. 施設の案内図、見取図、平面(求積)図 2. 都市計画法令等関係法令に抵触しないことの書面【指定様式】 3. 施設の使用権限を証する書面 自己所有物件の場合:不動産登記簿謄本など 借入物件の場合:賃貸借契約書など 4. 車庫前面道路の道路幅員証明書(前面道路が国道の場合は不要) 5. 計画する事業用自動車の使用権限を証する書面 車両購入の場合:売買契約書又は売渡承諾書など リースの場合:自動車リース契約書 自己所有の場合:自動車検査証の写し |
5 | 貨物自動車利用運送を行う場合 1. 営業所の使用権限を証する書面 自己所有物件の場合:不動産登記簿謄本など 借入物件の場合:賃貸借契約書など 2. 貨物の保管体制を必要とする場合は、保管施設の面積、構造及ぶ付属設備を記載した書類 3. 利用する運送事業者との運送に関する契約書の写し |
6 | 既存の法人で許可を取得する場合は、次の書類 1. 定款 2. 履歴事項全部証明書(登記簿謄本) 3. 直近の事業年度における貸借対照表 4. 役員名簿 5. 役員の履歴書(最終学歴から現在の職歴まで) |
7 | 法人を設立してその新設法人で許可を取得する場合は、次の書類 1. 認証済みの定款 2. 発起人の名簿 3. 発起人の履歴書 4. 株式の引受状況及び見込みを記載した書類 |
8 | 個人で許可を取得する場合は、次の書類 1. 資産目録 2. 戸籍抄本 3. 履歴書 |
9 | 役員全員の法第5号(欠格事由)各号のいずれにも該当しない旨の書など(宣誓書)【指定様式】 |
一般貨物自動車運送事業役員法令試験
一般貨物運送業申請が受理された後に関東運輸局より法令試験の案内(実施通知書)が届きます。
申請者(法人の場合は常勤役員1名)が受験者となり、法令試験を受験し合格しなければなりません。
(平成20年1月より実施)
試験を実施する許可等申請事案
申込手続き等を行う必要はなく指定された日時に受験することになります。
1. 一般貨物自動車運送事業(特別積合せ貨物運送をする場合を含む。)の経営許可申請
2. 一般貨物自動車運送事業(特別積合せ貨物運送をする場合を含む。)の事業の譲渡・譲受、合併および分割(一般貨物自動車運送事業の許可を取得している既存事業者が存続する場合は除く。)、相続認可申請
3. 特定貨物自動車運送事業の経営許可申請
法令試験の実施方法
1. 法令試験は、隔月(奇数月)で実施されます。
2. 初回の法令試験は、原則として許可申請書等を受理した月の翌月に実施されます。
3. 法令試験の実施予定日の前までに、実施予定日時および場所等を記載した書面を郵送等により申請者あてに通知されます。
4. 法令試験を実施した結果、合格基準に達しない場合は、翌々月に1回に限り再度の法令試験を受験できます。
5. 再試験において合格点に達しない場合には、却下処分とされます。ただし、当該申請を取り下げることもできます。
受験者
受験できるのは、1申請に当たり1名のみです。申請者が自然人である場合は申請者本人、申請者が法人である場合は、許可又は認可後、申請する事業に専従する役員とされています。
出題範囲および設問形式等
1. 出題の範囲(以下の法令等については、法令試験の実旋日において施行されている内容から出題されます。)
① 貨物自動車運送事業
② 貨物自動車運送事業法施行規則
③ 貨物自動車運送事業輸送安全規則
④ 貨物自動車運送事業報告規則
⑤ 自動車事故報告規則
⑥ 道路運送法
⑦ 道路運送車両法
⑧ 道路交通法
⑨ 労働基準法
⑩ 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準
平成元年2月9日 労働省告示第7号
⑪ 労働安全衛生法
⑫ 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
⑬ 下請代金支払遅延等防止法
2. 設問方式
○×方式および語群選択方式。
3. 出題数
30問
4. 合格基準
出題数の8割以上。
※合否の判定は後日、書面にて通知されます。
5. 試験時間
50分
その他
1. 参考資料等の持ち込みは不可です。ただし、関係法令等の条文が記載された条文集を配布されます。(当該資料は書き込み不可で、試験終了後に回収されます。)
2. 試験当日は筆記用具を忘れず持参して下さい。
※受験者の確認として運転免許証または、パスポートの持参も必要となります。
国土交通省のホームページから法令試験条文集がダウンロードできます。
一般貨物自動車運送事業許可後の手続き
運送業の許可が下りても、すぐに事業の開始ができるわけではありません。
運輸開始届出をして初めて運送事業を開始したことになります。
※注意:許可後1年以内に運輸開始を行わない場合、許可が失効します。
STEP1. 運行管理者・整備管理者の選任届出
資格のある者を運行管理者・整備管理者に選任し、届出を行います。
STEP2. 運送約款の認可
標準約款以外を使用する場合は、認可を受ける必要があります。
STEP3. 車両登録
「事業用自動車連絡書」を運輸支局へ提出し、営業ナンバー(緑ナンバー)への変更を行います。
※車両の名義変更手続きについては、別途お見積となります。詳しくはこちら
STEP4. 自動車保険の変更
自賠責保険・任意保険ともに変更手続きが必要となります。
STEP5. 運賃・料金の設定届出
運賃料金表を作成し、届出を行います。
STEP6. 労働基準監督署への届出
従業員が10名以上の場合は就業規則の作成・届出が必要です。
時間外労働を行う場合は、36協定を締結して届出が必要です。
※ご要望があれば、社会保険労務士をご紹介いたします。
STEP7. 適正診断の受診
運転者全員が「運転者適正診断」を受診する 。自動車事故対策機構(NASVA)等で実施
STEP8. 社会保険への加入
健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の加入手続きを行ってください。
STEP9. 運輸開始届
変更後の車検証の写し等を添えて、運輸支局へ届出します。
運輸開始後に遅滞なく届出を行う必要があります。
※許可取得されてから1年以内に運輸開始届を提出しない場合は許可が失効します。
開始届提出までの準備
事 項 |
|
事務所 |
・看板取付け ・運送約款等の掲示 ・料金表の掲示(必要がある場合) ・トラック協会への加入(任意) |
車 輌 |
・車体表示 ・緑ナンバー取付け |
社内規定 |
・就業規則(従業員10人以上いる場合) ・賃金規定 ・服務規程 ・36協定(時間外労働をおこうな場合) ・運行管理規定 ・整備管理規定 ・点検基準 |
保険 |
・健康保険 ・厚生年金保険 ・労働災害保険 ・雇用保険 |
診断等 |
・運行管理者、整備管理者の選任届提出 ・運転者の適性診断 ・運転者の健康診断 ・初任運転者の教育&教育記録 |
備え付け書類 |
・運転者台帳(退職後の保存期間3年) ・自動車事故記録簿・事故報告書(保存期間3年) ・教育記録簿(保存期間3年) ・点呼記録票(保存期間1年) ・運転日報(保存期間1年) ・運行記録計(保存期間1年) ・日常点検票・日常点検基準(保存期間1年(任意)) ・定期点検記録簿(保存期間1年)・定期点検基準・定期点検計画表 ・健康診断受診記録(保存期間5年) ・車両(管理)台帳(車検証等) ・配車表 ・車両別日計月計表 ・運行計画・乗務割表 ・乗務実績一覧表 ・運行指示書 ・運送受託簿 ・運行管理者選任届・運行管理者資格者証 ・整備管理者選任届 ・運行管理者整備管理者研修手帳 ・運行管理規定 ・整備管理規定 ・運送約款 ・適性診断受診計画同結果表 ・無事故無違反証明 ・事業報告書・事業実績報告書 ・役員変更届 ・社会保険加入状況表 ・出勤簿 ・賃金台帳 ・経理関係帳簿(総勘定元帳・経費明細簿・固定資産台帳・ リース契約書)等 |
STEP10. 巡回指導
運輸開始届提出後6ヵ月以内に適性化実施機関による巡回調査があります。
帳票類が整備されていない、申請と違うなどの場合には行政処分の対象となります。
※当事務所と顧問契約を締結していただければ、各種帳簿書類の整備等、継続的に行わせていただきます。
一般貨物自動車運送事業運行管理者
運行管理者とは、道路運送法及び貨物自動車運送事業法に基づき、事業用自動車の運行の安全を確保するための業務を行なう者をいいます。
運行管理者の業務
具体的な業務として、以下のものが挙げられます。
• 事業用自動車の運転者の乗務割の作成
• 休憩・睡眠施設の保守管理
• 運転者の指導監督
• 点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握
• 安全運行の指示
運行管理者の配置基準
営業所ごとに、保有車両29両まで1名、以降30両ごとに1名ずつ運行管理者を選任しなければなりません。
運行管理者になるには
運行管理者になるには、自動車運送事業の種別に応じた種類の運行管理者資格者証を取得する必要があります。運行管理者資格者証を取得するには次の二つの方法があります。
1. 運行管理者試験に合格する。
受験資格として、事業用自動車の運行管理に関する1年以上の実務経験または自動車事故対策機構(NASVA)が行なう基礎講習の受講が必要です。
2. 事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について一定の業務経験その他の要件を備える。
• 取得しようとする運行管理者資格者証の種類に応じた種別の自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除きます)の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務経験がある。
• その間に自動車事故対策機構が行なう運行管理に関する講習を5回以上受講している。5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している。
運行管理者の補助者について
自動車運送事業者は、運行管理者の業務を補助させるため、国土交通大臣が認定した講習を受講した者のうちから、補助者を選任することができます。
補助者を選任する場合には、その職務及び選任方法等について、運行管理規程に明記しておく必要があります。
運行管理者講習
運行管理者に選任された場合、次のように運行管理者講習を受けなければなりません。
既に運行管理者に選任されている場合には一般講習を2年に1回受講させなければいけません。
種類 | 講習の対象者 | 講習時間 | 手数料 |
---|---|---|---|
基礎講習 | 運行管理を行うために必要な法令及び業務等に関する必要な基礎知識の習得を目的とされる方 | 16時間 (3日) |
8,900円 |
一般講習 | 既に運行管理者として選任されている方又は運行管理者の補助者として運行管理業務をされている方 | 5時間 (1日) |
3,200円 |
特別講習 | 重大事故又は法令違反により行政処分を受けた営業所の運行管理者の方 | 13時間 (2日) |
17,900円 |
講習を受講する際には予約が必要となります。講習申込みにつきましては、NASVAのホームページ上で予約が可能です。
運行管理者試験
[実施日]
年2回、8月及び3月に実施
[受験資格]
次のいずれかに該当する必要があります。
1.事業用自動車(事業の種別は問いません。)の運行の管理に関し1年以上の実務経験を有する者。
2.実務の経験に代わる講習を修了した者。
実務の経験に代わる講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習が認定されています。
[試験の種類]
旅客、貨物の2種類があります。
[試験科目]
道路運送法、貨物自動車運送事業法、道路運送車両法、労働基準法などの法令等並びに運行管理者の業務に関し必要な実務上の知識及び能力について出題されます。
[合格基準]
合格基準点は次の(1)及び(2)の得点を満たしていること。
(1)今回試験については、正解が30問中18問以上であること。
(2)次の①~④の出題分野ごとに正解が1問以上であり、⑤については正解が2問以上であること。
① 貨物は貨物自動車運送事業法 、旅客は道路運送法
② 道路運送車両法
③ 道路交通法
④ 労働基準法
⑤ その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力
一般貨物自動車運送事業整備管理者
整備管理者とは、道路運送車両法などの法律に基づき、使用者に代わって自動車の点検及び整備並びに自動車車庫の管理に関する事項を処理する者をいいます。
具体的には、以下の業務を行うことが必要とされています。
• 日常点検について、その実施方法を定め、それを実施すること又は運転者等に実施させること
• 日常点検の実施結果に基づき、自動車の運行の可否を決定すること
• 定期点検について、その実施方法を定め、それを実施すること又は整備工場等に実施させること
• 上記以外の随時必要な点検について、それを実施すること又は整備工場等に実施させること
• 日常点検、定期点検又は随時必要な点検の結果から判断して、必要な整備を実施すること又は整備工場等に実施させること
• 定期点検又は前号の必要な整備の実施計画を定めること
• 点検整備記録簿その他の記録簿を管理すること
• 自動車車庫を管理すること
• 上記に掲げる業務を処理するため、運転者及び整備要員を指導監督すること
整備管理者の選任が必要な自動車使用者
次の表に該当する使用の本拠ごとに整備管理者の選任が必要です。
事業の種類 | 自動車の種類 | 選任が必要となる台数 (使用の本拠ごと) |
---|---|---|
事業用 (貨物軽自動車運送事業用自動車を除く) |
バス (乗車定員11 人以上の自動車) |
1台以上 |
トラック、タクシー (乗車定員10人以下の自動車) |
5台以上 | |
自家用 | バス (乗車定員11 人以上の自動車) |
乗車定員30人以上の自動車の場合は1台以上 |
乗車定員11人以上29人以下の自動車の場合は2台以上 | ||
大型トラック等 (車両総重量8トン以上) |
5台以上 | |
レンタカー | バス (乗車定員11 人以上の自動車) |
1台以上 |
大型トラック等 (車両総重量8トン以上) |
5台以上 | |
その他の自動車 | 10台以上 | |
貨物軽自動車運送事業用自動車 | 軽自動車又は小型二輪自動車 | 10台以上 |
整備管理者の資格要件
整備管理者になるためには、次のいずれかの資格要件を満たすことが必要です。
1. 整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検若しくは整備又は整備の管理に関する2年以上の実務経験を有し、かつ、地方運輸局長が行う研修を修了した者であること
2. 一級、二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者であること
資格要件1.について
• 「整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車」とは、
2輪自動車以外と2輪自動車の2種類です。
• 「点検又は整備に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。
整備工場などで整備要員として点検・整備業務を行なった経験
自動車運送事業者の整備実施担当者として点検・整備業務を行なった経験
• 「整備の管理に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。
整備管理者の経験
整備管理者の補助者(代務者)として車両管理業務を行った経験
整備責任者として車両管理業務を行った経験
資格要件2.について
• 「地方運輸局長の行う研修を修了した者」とは、運輸支局毎に実施している「整備管理者選任前研修」を受講・修了した方をいいます。
一般貨物自動車運送事業監査・行政処分
監査について
監査の種類には下記の5種類があります。
1. 特別巡回指導
運輸開始後6ヵ月以内に適正化指導員による施設確認等の巡回指導。
2. 呼び出し指導
下記(3~5)までの監査を受けていない事業者であって、指導を行うことが必要と認められる事業者に対して、自主点検票を提出させて行う指導。
3. 呼び出し監査
下記(4.5)以外において、違法性がある事業者に対して原則として重点事項を定め事業者を呼び出して行う監査。
4. 巡回監査
過去の監査・処分・事故状況および通報・苦情等により、著しい違法性の疑いがある事業者に対して、原則として重点事項を定めて行う監査。
5. 特別監査
運転者が社会的影響の大きい事故(死亡事故、酒酔い運転等悪質違反を伴う事故)を引き起こしたまたは悪質違反を犯した事業者であって、過去の監査・処分・事故状況および通報等を勘案し、随時、監査が必要であると認められる事業者に対して、全般的な法令遵守状況について特別に行う監査。
行政処分について
行政処分の種類は、軽微なものから順に、自動車その他の輸送施設の使用停止処分、事業の全部または一部の停止処分および許可の取消し処分がある。
なお、これに至らないものは、軽微なものから順に、口頭注意、勧告、警告がある。
点数制度による行政処分
違反に応じた日車数の自動車の使用停止処分のほか、処分日車数10日(車両×日)ごとに1点と換算した点数に基づき、次のとおり行なわれる。
1. 当該営業所の業務停止処分
• 3年間の累計点数が30点以下で270日車以上の処分を受ける場合
• 3年間の累計点数が31点以上で180日車以上の処分を受ける場合
2. 全営業所の事業停止処分
• 3年間の累計点数が51点以上となる場合
3. 事業許可の取り消し
• 2年間に4回目の事業停止処分を受けることとなる場合
• 3年間の累計点数が81点以上となる場合
(累計点数の管理および行政処分等は、原則として運輸局ごとに行なわれる)
点数制度によらない行政処分
事業許可の取り消し
• 自動車等の使用停止命令または事業停止命令の違反
• 上記命令に伴う自動車検査証返納命令または登録番号標領置命令の違反
• 事業計画に従うべき命令違反、輸送の安全確保命令違反
• 事業改善命令違反、公衆の利便阻害行為等の停止命令違反
• 名義貸し・事業の貸し渡し等で反復・継続的なものの違反
• 検査拒否等の違反
• 運行管理者の資格取り消し
• 運転者が有責の重大事故を惹き起こし、多数の死傷者を生じたような場合、その他社会的影響度の大きい事故の場合
• 過労運転若しくは過積載運行が計画的または恒常的に繰り返して行われていた場合
• 運転者に対する適切な指導および監督を怠り恒常的に速度違反が行なわれていた場合等
処分を受けると事業者名が公表されます。
自動車の使用停止処分、事業停止処分または許可の取り消し処分を受けた場合や累積点数が21点以上になった場合などについては、運輸局のインターネットホームページを通じて公表されます。
一般貨物自動車運送事業分割・譲渡
分割認可申請
一般貨物自動車運送事業たる法人が分割をする場合において、一般貨物自動車運送事業を承継させるために認可を受ける必要があります。
分割認可申請に必要な書類
1. 分割契約書(新設分割の場合は分割計画書)の写し
2. 分割の方法および条件の説明書
3. 分割により承継する法人が現に一般貨物自動車運送事業を経営していない場合の添付書類
【既存の法人】
① 定款または寄附行為および登記簿の謄本
② 直近の事業年度における貸借対照表
③ 役員または社員の名簿および履歴書
④ 定款の変更が必要な場合は、株主または社員総会議事録の写し
【法人を設立しようとするもの】
① 定款の写しまたは寄附行為の謄本
② 発起人、社員または設立者の名簿および履歴書
③ 設立しようとする法人が株式会社または有限会社である場合、株式の引受けまたは出資の状況および見込みを記載した書類
4. 法第5条(欠格事由)各号のいずれにも該当しない旨を証する書面(宣誓書)
5. 申請に伴って事業計画を変更しようとする場合の添付書類
※内容が変更されるものに限る
① 施設の案内図、見取図、平面(求積)図
② 都市計画法等関係法令に抵触しないことの書面(宣誓書)
③ 施設の使用権原を証する書面
・自己所有 - 不動産登記簿謄本等
・借入 - 賃貸借契約書等
④ 車庫前面道路の道路幅員証明書(前面道路が国道の場合は不要)
⑤ 計画する事業用自動車の使用権原を証する書面
・車両購入 - 売買契約書または売渡承諾書等
・リース - 自動車リース契約書
・自己所有 - 自動車車検証(写)
⑥ 事業用自動車の運行管理等の体制を記載した書類
6. 事業計画対照表
譲渡し譲受けの認可申請
A社の一般貨物自動車運送事業の経営権をB社が譲り受けて一般貨物自動車運送事業を経営するために受ける必要があります。
譲渡し譲受け認可申請に必要な書類
1. 譲渡譲受契約書の写し
2. 譲渡し譲受けの価格の明細書
3. 譲受人が現に一般貨物自動車運送事業を経営していない場合の添付書類
【譲受人が既存の法人の場合】
① 定款または寄付行為の写しおよび登記簿の謄本
② 直近の事業年度における貸借対照表
③ 役員または社員の名簿および履歴書
④ 定款の変更が必要な場合は、株主または社員総会議事録の写し
【譲受人が新たに法人を新設しようとする場合】
① 定款の写しまたは寄附行為の謄本
② 発起人、社員または設立者の名簿および履歴書
③ 設立しようとする法人が株式会社または有限会社である場合、株式の引受けまたは出資の状況および見込みを記載した書類
【譲受人が個人の場合】
① 資産目録
② 戸籍抄本
③ 履歴書
4. 法第5条(欠格事由)各号のいずれにも該当しない旨を証する書面(宣誓書)
5. 事業計画等新旧対照表
6. 申請に伴って事業計画等を変更しようとする場合
※内容が変更されるものに限る
① 施設の案内図、見取図、平面(求積)図
② 都市計画法等関係法令に抵触しないことの書面(宣誓書)
③ 施設の使用権原を証する書面
・自己所有 - 不動産登記簿謄本等
・借入 - 賃貸借契約書等
④ 車庫前面道路の道路幅員証明書(前面道路が国道の場合は不要)
⑤ 計画する事業用自動車の使用権原を証する書面
・車両購入 - 売買契約書または売渡承諾書等
・リース - 自動車リース契約書
・自己所有 - 自動車車検証(写)
⑥ 事業用自動車の運行管理等の体制を記載した書類
【貨物自動車利用運送を行う場合】
⑦ 営業所の使用権原を証する書面(実運送と同一の場合は、省略)
・自己所有 - 不動産登記簿謄本等
・借入 - 賃貸借契約書等
⑧ 貨物の保管体制を必要とする場合は、保管施設の面積、構造および附属設備を記載した書類
⑨ 利用する事業者との運送に関する契約書の写し