特定旅客自動車運送事業

特定旅客自動車運送事業とは

特定旅客自動車運送事業とは、特定の範囲の乗客のみを目的地へ運送する事業をいいます。
例えば、工場の従業員を工場へ送迎するバスや、医療施設等と自宅等との間の要介護者の送迎輸送を介護サービス事業者が行う場合も特定旅客となります。

(運送しようとする旅客の範囲の例)
・○○株式会社(△△工場)の従業員及び同会社(工場)への来訪者に限る。
・□□産業株式会社の本社工場の従業員、臨時職員(パート)に限る。

特定旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければなりません。

一般旅客自動車運送事業との違い

【一般旅客許可】
〇運送需要者…不特定多数の者
(だれでも運送できます。)
〇目的地…不特定の場所
(どこにでも運送できます。)

【特定旅客許可】
運送需要者…何らかの方法で特定される者
(何らかの団体に所属している会員、特定できる施設の利用者)
目的地…特定される場所
(工場・介護施設・病院等。原則としては複数の建物等は認められません。)

その他留意事項として

〇 特定旅客自動車運送事業の場合には役員法令試験は免除されます。また「一般乗用旅客自動車運送事業(法人タクシー)」などと違い、資金の要件もありません。
〇 車両は1台からでも申請できます。
但し、11人以上のマイクロバスを使用する場合には、運行管理資格者、整備管理資格者が必ず必要となります。
〇 運転者は第二種運転免許を取得している必要があります。
〇 特定旅客自動車運送事業経営許可申請の標準処理期間は、3ヶ月となります。
なお、登録免許税として3万円かかります。
〇 特定旅客自動車運送事業者は、特定の場所へ移送することしかできません。
病院などへの輸送した帰りに商店へ寄ったりといったサービスは提供できません。
 

許可がおりるまでの主な流れ

許可申請書を管轄する運輸支局へ提出(特定旅客自動車運送事業)
↓(約1ヶ月)
所轄庁による審査
↓(約1ヶ月)
許可証の交付

運賃・料金の届出を提出

事業開始(運輸開始届の提出)

要件

(1)運送需要者
① 運送需要者が原則として単数の者に特定されていること。ただし、実質的に単数と認められる場合はこの限りではない。
② 需要者が運送契約の締結及び運送の指示を直接行い、第三者を介入させない等自らの運送需要を満たすための契約であると認められること。

(2)取扱客
① 一定の範囲に限定されていること。
② 需要者の事業目的を達成するために需要者に従属する者を送迎する場合、需要者が自己の施設を利用させることを事業目的として客を送迎する場合等需要者の負担で輸送することに十分合理性が認められる取扱旅客であること。

(3)路線又は営業区域
① 需要者の需要と整合性のある路線又は営業区域が設定されていること。
② 路線については、事業用自動車の運行上支障のないものであること。

(4)公衆の利便
申請に係る事業の経営により、当該路線又は営業区域に関連する他の旅客自動車運送事業者による一般旅客自動車運送事業の経営及び事業計画の維持が困難となるため、公衆の利便が著しく阻害されることとなるおそれがないこと。

(5)営業所
配置する事業用自動車に係る運行管理及び利用者への営業上の対応を行う事務所であって、次の各事項に適合するものであること。
① 申請者が、土地、建物について1年以上の使用権原を有するものであること。
② 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。
③ 事業計画を的確に遂行するに足る規模のものであること。

(6)事業用自動車
申請者が使用権原を有するものであること。

(7)自動車車庫
① 原則として営業所に併設するものであること。ただし、併設できない場合は、営業所から直線で2キロメートルの範囲内にあって運行管理をはじめとする管理が十分可能であること。
② 車両と自動車車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、営業所に配置する事業用自動車の全てを収容できるものであること。
③ 他の用途に使用される部分と明確に区画されていること。
④ 申請者が、土地、建物について1年以上の使用権原を有するものであること。
⑤ 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。
⑥ 事業用自動車の点検、整備及び清掃のための施設が設けられていること。
⑦ 事業用自動車の出入りに支障のない構造であり、前面道路が車両制限令に抵触しないものであること。なお、前面道路が私道の場合にあっては、当該私道の通行に係る使用権原を有する者の承認があり、かつ、当該私道に接続する公道が車両制限令に抵触しないものであること。

(8)休憩、仮眠又は睡眠のための施設
① 原則として営業所又は自動車車庫に併設されているものであること。ただし併設できない場合は、営業所及び自動車車庫のいずれからも直線で2キロメートルの範囲内にあること。
② 事業計画を的確に遂行するに足る規模を有し、適切な設備を有するものであること。
③ 申請者が、土地、建物について1年以上の使用権原を有するものであること。
④ 建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。

(9)管理運営体制
① 法人にあっては、当該法人の役員のうち1名以上が専従するものであること。
② 営業所ごとに、配置する事業用自動車の数により義務づけられる常勤の有資格の運行管理者の員数を確保する管理計画があること。
③ 運行管理の担当役員等運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。
④ 自動車車庫を営業所に併設できない場合は、自動車車庫と営業所とが常時密接な連絡をとれる体制が整備されるとともに、点呼等が確実に実施される
体制が確立されていること。
⑤ 事故防止等についての教育及び指導体制を整え、かつ、事故の処理及び自動車事故報告規則に基づく報告等の責任体制その他緊急時の連絡体制及び協力体制について明確に整備されていること。
⑥ 上記②~⑤の事項等を明記した運行管理規程等が定められていること。
⑦ 原則として、常勤の有資格の整備管理者の選任計画があること。ただし、一定の要件を満たすグループ企業に整備管理者を外部委託する場合は、事業用自動車の運行の可否の決定等整備管理に関する業務が確実に実施される体制が確立されていること。

(10)運転者
① 事業計画を遂行するに足る員数の有資格の運転者を常時選任する計画があること。
② この場合、適切な乗務割、労働時間を前提としたものであること。
③ 運転者は、旅客自動車運送事業運輸規則第36条第1項各号に該当する者ではないこと。

(11)法令遵守
申請者又は申請者が法人である場合にあってはその法人の業務を執行する常勤の役員が次の①から③のすべてに該当する等法令遵守の点で問題のないこと。
① 法、貨物自動車運送事業法、タクシー業務適正化特別措置法及び特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の違反により申請日前3ヶ月間及び申請日以降に50日車以下の輸送施設の使用停止処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者ではないこと。
② 法、貨物自動車運送事業法、タクシー業務適正化特別措置法及び特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の違反により申請日前6ヶ月間及び申請日以降に50日車を超え190日車以下の輸送施設の使用停止処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者ではないこと。
③ 法、貨物自動車運送事業法、タクシー業務適正化特別措置法及び特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の違反により申請日前1年間及び申請日以降に190日車を超える輸送施設の使用停止処分以上又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における当該処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する常勤の役員として在任した者を含む。)ではないこと。

(12)損害賠償能力
旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運行により生じた旅客その他の者の生命、身体又は財産の損害を賠償するために講じておくべき措置の基準を定める告示で定める基準に適合する任意保険又は共済に計画車両の全てが加入する計画があること。

必要書類

1.計画する事業用自動車の使用権原を証する書面
①車両の概要を示した書面(車検証(写)等)
・自己所有・・・車検証(写)
・購入・・・車検証(写)、売買契約書(写)又は売渡承諾書(写)等
・リース・・・車検証(写)、リース契約書(写)等

2.事業用自動車の乗務員の休憩、仮眠又は睡眠のための施設の概要を記載した書面

3.事業の用に供する施設の概要及び付近の状況を記載した書類
①.施設の案内図、平面(求積)図、配置図
②.施設の使用権原を証する書面
・自己所有・・・不動産登記簿謄本等
・借入・・・賃貸借契約書(写)等
③.建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないことの書面(宣誓書等)
④.車庫前面道路の道路幅員証明書

4.推定による一年間の取扱旅客の種類及び運輸数量並びにその算出の基礎を記載した書面

5.運送需要者との契約書又は協定書の写し

6.既存の法人にあっては、次に掲げる書類
①.定款又は寄付行為及び登記簿の謄本
②.役員又は社員の名簿及び履歴書

7.法人を設立しようとするものにあっては、次に掲げる書類
①.定款(商法(明治32年法律第48号)第167条及びその準用規定により認証を必要とす
る場合にあっては、認証のある定款)又は寄付行為の謄本
②.発起人、社員又は設立者の名簿及び履歴書
③.設立しようとする法人が株式会社又は有限会社である場合にあっては、株式の引受け又は出資の状況及び見込みを記載した書類

8.個人にあっては、次に掲げる書類
①. 戸籍抄本
②.履歴書

9.法人格なき組合にあっては、次に掲げる書類
①.組合契約書の写し
②.組合員の資産目録
③.組合員の履歴書

10.法第7条(欠格事由)各号及び審査基準のいずれにも該当しない旨を証する書類(宣誓書等(申請者及び常勤役員全員分))

11. 平成17年国土交通省告示第503号で定める基準に適合する任意保険又は共済に計画車両の全てが加入する計画があることを証する書類(契約申込書の写し、見積書の写し、宣誓書等)

12.事業用自動車の運行管理体制等を記載した書類
①.管理運営体制組織図
②.運行管理者の資格要件を証する書類(運行管理者資格者証及び就任承諾書等)
③.整備管理者の資格要件を証する書類(資格者証又は管理者手帳、在職証明書及び履歴書、就任承諾書等)
④.運転者予定名簿、免許証(※ 第二種運転免許の写し)及び就任承諾書等

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